派遣社員が時給を上げる方法:交渉の準備から派遣先変更まで現実的な手順
結論:派遣社員の時給アップは「実績の見える化→派遣元への相談→改定タイミングで交渉→上がらなければ案件変更」の順が現実的です。事務・コール・軽作業など幅広い方へ、準備の型と例文、次の選択肢まで整理して持ち帰れます。
まず確認:時給が決まる仕組みと交渉相手
派遣元・派遣先の役割と決定権
派遣社員の時給は、基本的に派遣元(派遣会社)があなたへ支払う賃金として決まります。一方で、派遣先は派遣元へ「業務に対する対価(契約条件)」を支払っているため、時給の改定には派遣先との調整が絡むのが一般的です。
そのため、時給の相談・交渉は派遣元に伝えるのが原則です。派遣先へ直接「時給を上げてください」と言うと、契約上の役割分担を崩してトラブルになりやすいので避けましょう(評価のフィードバック依頼は派遣元経由で行うのが安全です)。
契約更新・単価改定の基本
時給が動きやすいのは、次のような節目です。
- 契約更新(更新の可否確認、条件見直し)
- 業務範囲が変わるタイミング(新業務追加、役割拡大)
- 派遣先側の体制変更(人員補充、欠員対応の緊急度が上がる等)
多くの現場では、今月突然の大幅変更よりも、更新に合わせて条件を整えるほうが通りやすい傾向があります。更新の流れが曖昧な方は、内部リンク候補の「派遣の契約更新の流れと注意点」もあわせて確認しておくと、相談のタイミングが取りやすくなります。
同じ仕事内容でも差が出る理由
同じ「一般事務」でも時給差が出るのは、個人の能力だけが理由ではありません。たとえば以下が絡みます。
- 地域・職種・繁忙期などの需給
- 派遣先の予算、契約条件(業務範囲、必要スキル、就業形態)
- 派遣会社の提案方針、営業担当の動き
- あなたの担当業務が「代替可能」か「属人化している」か
だからこそ、交渉は「気持ち」よりも材料(実績・相場感・希望条件)で組み立てるほど勝ちやすくなります。
交渉前にやること:材料集め(実績・市場感・希望条件)
実績を『数字と言葉』で残すテンプレ
評価される実績は、立派なプロジェクト経験だけではありません。日々の仕事を、後から説明できる形にしておくのが重要です。まずは1週間分だけ、次のテンプレでメモしてみてください。
- 担当業務:何を担当したか(定型/イレギュラー)
- 量:処理件数・対応数など(無理に盛らず、分かる範囲で)
- 質:ミス削減・クレーム減・手戻り減など
- 工夫:短縮した手順、改善したフロー、作った資料
- 周囲への影響:引き継ぎ、問い合わせ対応、教育補助
- 評価の兆し:感謝された、指名された、追加依頼が増えた
数字が出しにくい場合は「期限内に安定稼働させた」「急ぎ案件を優先付けして遅延を出さなかった」など、再現性のある貢献に言い換えるだけでも材料になります。
職務範囲の変化(増えた業務)を整理
時給交渉で強い材料のひとつが、契約当初より業務範囲が増えたことです。ここは感覚で言うと弱いので、項目で整理します。
- 開始時:担当範囲(例:入力、一次対応、庶務など)
- 現在:増えた範囲(例:集計、社内調整、マニュアル作成、他拠点対応など)
- 頻度:毎日/週次/月次/繁忙期のみ
- 難易度:判断を伴う、ミスの影響が大きい、関係者が多い等
この整理は、交渉だけでなく「業務が増えるだけ増えて時給は据え置き」を防ぐためにも役立ちます。契約書や就業条件明示の範囲も、派遣元に確認しておきましょう。
求人情報から相場感をつかむ見方
具体的な相場は地域・職種・勤務条件で大きく変わるため断定できませんが、相場感をつかむ方法はあります。
- 同じ職種名でも「求めるスキル(Excel、受発注、英語など)」で分けて見る
- 就業形態(在宅可否、シフト、残業有無)で条件を揃えて比較する
- 「経験必須」「リーダー補助」など役割が近い求人を探す
- 時給だけでなく、交通費・在宅手当の扱いも確認する
比較の目的は、他社をあおることではなく「自分の市場での立ち位置」を把握することです。複数社の求人を見るなら、内部リンク候補の「派遣会社の選び方:比較ポイント」も参考になります。
なお、求人比較や登録作業は勤務時間外に行い、守秘義務・就業規則に反しない範囲で進めましょう。
希望時給と最低ライン(譲れない条件)を決める
交渉は「いくら欲しい」だけでなく、条件の組み合わせで決まりやすくなります。次の3点を先に決めておくと会話がぶれません。
- 希望:まず目指したい条件(時給・在宅・残業・通勤など)
- 最低ライン:これを下回るなら案件変更も検討する基準
- 優先順位:時給>在宅、在宅>時給…のように序列をつける
時給アップが難しい場合でも、条件の再設計(業務範囲、在宅頻度、交通費、勤務日数など)で納得感を上げられることがあります。
時給アップに効く行動:評価されやすい動き方
任される仕事を増やすより“成果の見える化”
「仕事を増やせば上がる」は半分正解で、半分危険です。増えた仕事が評価として伝わらない構造だと、負荷だけ上がって時給が据え置きになりがちです。
意識したいのは、成果を見える形にして、派遣元が派遣先へ説明できる状態を作ることです。
- 週次で「今週やったこと/改善したこと」を簡単にメモ
- ミス・手戻りの原因と対策を短文にする
- 「誰の負担が減ったか」を言語化する
引き継ぎ・マニュアル化で価値を上げる
派遣先が評価しやすい貢献の代表が、属人化を減らすことです。あなたが休んでも回る仕組みは、現場の安定に直結します。
- 手順を簡単なチェックリストにする
- よくある例外パターンを追記する
- 問い合わせ対応のテンプレを作る
これらは派手ではない一方で、派遣先にとって「代替が難しい価値」に転化しやすく、交渉材料として強くなります。
ミス削減・スピード改善など改善提案
改善提案は大げさな改革でなくて構いません。たとえば事務なら、入力ルールの統一、チェック工程の追加、集計の手順整理など、日々の小さな改善が効きます。
ポイントは「提案→実行→結果(手戻り減、確認時間減など)」の流れで説明できること。数字が難しければ「確認回数が減った」「差し戻しが減った」などでも構いません。
スキル習得(Excel/業界知識/資格)の選び方
学習は「役に立つ」だけでなく「評価されやすい」に寄せるのがコツです。おすすめは次の順番です。
- 今の職場で使っているツール・業務に直結(例:Excelの集計、関数、ピボット等)
- 求人で頻出の要件(同職種で繰り返し出てくるもの)
- 職務経歴書で説明しやすいスキル(成果とセットで書ける)
資格や講座は、受けたから必ず時給が上がるものではありません。ただし、案件の選択肢を増やし、結果的に条件が上がる可能性はあります。学習導線として、内部リンク候補の「Excelスキルの伸ばし方(実務向け)」も活用すると整理しやすいでしょう。
派遣元への伝え方:交渉の進め方と例文
切り出すタイミング(更新前・面談時)
最も現実的なのは、契約更新の少し前に「次回更新の条件について相談したい」と予約を入れることです。更新直前だと派遣先側の調整が間に合わず「今回は難しい」が増えがちです。
また、派遣元との定期面談・フォロー連絡がある場合は、その場で「次回更新の条件相談」を議題に乗せるのがスムーズです。面談の準備は、内部リンク候補の「派遣社員の面談(職場見学)で聞くべき質問」もヒントになります。
伝える順番:貢献→希望→根拠→相談
交渉で揉めにくい順番は以下です。
- 貢献:現状の業務・成果(見える化したメモ)
- 希望:次回更新で検討したい条件(時給、働き方)
- 根拠:業務範囲の増加、評価、求人比較など
- 相談:派遣先への確認・調整をお願いする
「上げてください」と要求で締めるより、「次回更新で可能か、派遣先に相談いただけますか」と依頼にすると、派遣元が動きやすくなります。
メール・口頭の言い回し例
丁寧版(メール例)
お世話になっております。現在就業中の業務について、次回契約更新に向けて条件のご相談をさせてください。
直近は○○(担当範囲)に加え、△△(追加業務)も担当しており、手順の整理や引き継ぎ資料の作成などを進めております。
次回更新のタイミングで、時給条件の見直しをご検討いただくことは可能でしょうか。業務範囲の増加と現場での役割を踏まえ、希望条件をお伝えし、派遣先へご相談いただければと思います。
お忙しいところ恐縮ですが、面談またはお電話で10〜15分ほどお時間をいただけますと幸いです。
簡潔版(メール例)
次回更新に向けて条件相談をお願いしたくご連絡しました。最近○○に加えて△△も担当しているため、時給の見直し可否を派遣先へご相談いただけますでしょうか。今週または来週でお打ち合わせ可能な日時をご教示ください。
口頭での切り出し例
「次回更新に向けて条件の相談をしたいです。最近担当が増えている点もあり、時給の見直しが可能か派遣先へ確認いただけますか。こちらで実績メモも用意しています。」
うまくいかない時の追加提案(業務範囲・在宅・交通費等)
時給がすぐに動かない場合もあります。その際は、次のように「代替案」と「次回改定条件」をセットで確認すると前に進みます。
- 時給が難しい場合、業務範囲の調整(増えた分を整理)
- 在宅頻度・シフト固定など働き方の調整
- 通勤負担の見直し(制度上可能な範囲で)
- 次回改定の条件:何を達成すれば改定の検討に入れるか
重要なのは、口頭で終わらせず「合意した内容(確認事項)」を派遣元経由で記録に残すことです。
上がらない場合の現実策:案件チェンジと複線化
同じ派遣元で別案件に移る流れ
まず現実的なのは、今の派遣元に「条件を上げたいので、別案件も含めて提案してほしい」と依頼することです。派遣元はあなたの就業状況や評価を把握しているため、条件に合う枠を提案しやすい場合があります。
- 希望条件(時給・勤務地・在宅・残業)を再提示
- 職務経歴を更新して渡す
- 現職の引き継ぎ可能時期をすり合わせ
移る前提で動くなら、内部リンク候補の「職務経歴書の書き方(派遣向け)」の観点で、実績メモを職務経歴に落とし込んでおくと強いです。
派遣先の変更を切り出す注意点
派遣先変更は、感情的に切り出すと摩擦が出ます。派遣元には次のように「条件」と「キャリア」を理由にするのが無難です。
- 「時給を含め条件を上げたい」
- 「業務の幅を広げたい/伸ばしたいスキルがある」
- 「通勤や働き方を見直したい」
現場の不満だけを前面に出すと、あなたの印象が悪くなるリスクがあります。もしハラスメントや不利益取扱いが疑われる場合は、派遣元の相談窓口や公的な相談先など、第三者に相談する選択肢も検討してください。
複数の派遣会社に登録して比較する
時給が上がらない要因が「今の派遣元の提案幅」にある場合、複数社で比較すると状況が動くことがあります。比較ポイントは次の通りです。
- 同じ職種での案件数、在宅案件の有無
- 営業・コーディネーターの提案力(条件整理を手伝ってくれるか)
- 福利厚生やサポート(研修、相談窓口等)
比較の軸を揃えるためにも、内部リンク候補の「派遣会社の選び方:比較ポイント」を基準にすると判断が早くなります。
直雇用(紹介予定・直接雇用)を視野に入れる
「派遣の枠内での時給アップ」に限界を感じたら、直雇用ルートを検討するのも現実策です。代表的なのが紹介予定派遣や直接雇用の求人です。
もちろん、雇用形態が変われば責任範囲や評価制度も変わります。メリット・注意点を整理するなら、内部リンク候補の「紹介予定派遣とは?メリット・注意点」の観点で比較してみてください。
よくある落とし穴:交渉で損しないために
感情論・不満から入ると失敗しやすい
「忙しいのに上がらない」「評価されていない気がする」などの不満は、気持ちとして自然です。ただ、交渉の場では不満を先に出すと、防御的な会話になりがちです。
不満は「論点」に変換しましょう。
- 不満:業務が増えた → 論点:業務範囲が契約当初より拡大している
- 不満:評価されない → 論点:成果の共有経路がないので派遣元へ可視化して伝える
『今すぐ上げて』より次回改定を狙う
派遣は契約で動くため、月の途中で条件だけを変えるのは難しいことが多いです。狙い目は「次回更新」「次回の単価改定」です。
だからこそ、更新の少し前に相談し、派遣先調整の時間を確保するのが勝ちパターンになります。
業務範囲が増えるだけの条件変更に注意
時給アップの提案と引き換えに、業務が大きく増えるケースもあります。悪い話ではありませんが、次は必ず確認してください。
- 増える業務の範囲(何を、どこまで)
- 優先順位(何を優先し、何をやらないか)
- 残業可否・繁忙期の扱い
- 評価の見方(何ができたら次の改定に繋がるか)
合意内容は派遣元経由で文面に残し、後から「言った/言わない」にならないようにします。
働きぶりの評価が伝わらない構造への対策
派遣は、派遣先の上司があなたの成果を分かっていても、それが派遣元の交渉材料として整理されていないと、改定に繋がりません。対策はシンプルです。
- 実績メモを派遣元へ定期共有(更新前にまとめてでも可)
- 派遣元に「派遣先評価のフィードバック」を依頼
- 役割の追加があった時点で、派遣元へ早めに共有
「派遣先に直接交渉しない理由」は、対立を避けるためではなく、契約の交渉ルートが派遣元にあるためです。派遣元が動ける形に材料を整えるのが、遠回りに見えて最短です。
まとめ:最短で成果につなげるチェックリスト
実績メモを1週間分作る
- 担当業務/増えた業務/工夫/周囲への影響を短文で残す
- 数字がなければ「再現性のある貢献」に言い換える
更新1か月前に派遣元へ相談予約
- 「次回更新の条件相談」を議題にして時間を確保する
- 貢献→希望→根拠→相談の順で伝える
希望条件を言語化して比較検討
- 希望/最低ライン/優先順位を決める
- 求人で相場感を確認(勤務時間外に、守秘義務に配慮)
上がらない場合は次の選択肢へ移る
- 次回改定の条件(達成項目)を確認して再挑戦
- 同じ派遣元で別案件提案を依頼
- 複数社比較、紹介予定・直雇用も視野に入れる
よくある質問
- 派遣社員が時給交渉するのは失礼ですか?
- 失礼ではありません。更新前など適切なタイミングで、実績と希望条件を整理して「相談」として伝えるのが現実的です。
- 派遣先に直接「時給を上げて」と言っていい?
- 基本は派遣元(派遣会社)に伝えます。派遣先へ直接交渉すると契約上トラブルになりやすいので避けましょう。
- 実績が弱いと感じます。何を材料にすればいい?
- ミス削減、処理速度、引き継ぎ整備、改善提案など“再現性のある貢献”を短文でまとめると材料になります。
- 断られたら次はどうする?
- 次回改定の条件(達成項目)を確認しつつ、別案件の提案依頼や他社求人の比較で選択肢を増やすのが有効です。
- 時給アップと引き換えに業務が増えそうで不安です
- 増える業務の範囲・優先順位・残業可否をセットで確認し、合意内容を派遣元経由で記録に残すと安心です。