派遣社員の「態度がでかい」と感じたときの対処法:原因整理と角が立たない伝え方
結論:「態度がでかい」と感じたら、まず事実を具体化して誤解や契約前提のズレを切り分け、1on1で短く期待を伝え、必要に応じて派遣元・社内ルートへ相談します。指揮命令者・同僚・管理職が揉めずに進める型が得られます。
「態度がでかい」と感じる場面を具体化する
「態度がでかい」という印象だけで動くと、相手の人格批判に寄りやすく、関係悪化やハラスメント懸念につながります。最初にやるべきは、何が起きたかを“行動”として言語化することです。ここができると、注意も相談も事実ベースで進みます。
挨拶・返事がない/言い方がきつい
- 挨拶をしても反応がない、目を合わせない
- 返事が短く、語気が強いと感じる
- 依頼すると「それ、私の仕事ですか?」など強めに返される
この領域は受け取り方が分かれやすいので、後述の「誤解・前提違い」を必ず確認します。
指示に従わない・反論が多い
- 指示を出しても別のやり方で進める
- その場で反論が続き、合意できない
- 決まった手順やルールを守らない
ここは「態度」ではなく、業務運用上の問題として扱いやすい反面、契約範囲や優先順位が曖昧だと摩擦が起きやすいポイントです。
遅刻や私用優先など勤務態度の問題
- 遅刻・早退・離席が多い
- 連絡が遅い、連絡手段がバラバラ
- 就業中の私用が目立つ
この領域は就業ルールや契約に関わりやすいため、感情論よりも規程・事実・影響で整理し、必要なら指揮命令系統や人事、派遣元と連携して進めます。
まず疑うべき「誤解」と「前提違い」
同じ言動でも、背景によって意味が変わります。いきなり注意や評価に結びつけず、起点となる前提ズレがないかを確認してください(一般化しすぎず、職場のルールがある前提で進めます)。
業務指示が曖昧で自衛的になっている
ゴール、優先順位、判断基準が曖昧だと、本人は責任回避や手戻り防止のために強い言い方になりがちです。こちらの指示が「お願い」なのか「必須」なのかも混ざると、反発に見える返答が増えます。
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契約範囲外の依頼で摩擦が起きている
派遣では、契約上の業務範囲や指揮命令系統が重要です。契約外と思われる依頼が増えると、「断る=態度が悪い」に見えることがあります。依頼内容が契約範囲か、依頼の優先順位が妥当かを先に点検します。
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職場文化(敬語・距離感)の差
敬語の徹底、チャットの言い回し、雑談の量などは会社・部署で差が出ます。本人に悪意がなくても、周囲が「馴れ馴れしい」「上から目線」と感じることがあります。ここは正解を押し付けるより、チームの期待値を合わせる方が再発防止につながります。
忙しさ・体調など一時的要因
一時的な繁忙、睡眠不足、家庭事情、体調不良などで反応が荒くなることもあります。もちろん免罪符にはなりませんが、短期間の変化なら、急いで断罪せず状況確認を挟むとこじれにくいです。メンタル不調が疑われる場合は、本人を追い詰めない形で社内の相談窓口や上長へ早めに共有します。
本当に問題行動か判断するチェックポイント
注意や相談に進む前に、以下で「印象」から「判断」に落とし込みます。ここを押さえると、派遣元・人事に共有する際もブレません。
誰に対しても同様か(特定相手だけか)
- 特定の社員にだけ強いのか、全員に同じなのか
- 指示を出す人によって反応が変わるのか
相性や依頼の出し方が影響している可能性があります。特定相手だけなら、役割分担や窓口の一本化で改善することもあります。
具体的な事実が記録できるか
- いつ、どこで、何を言った/したか
- 誰が見聞きしたか(証人集めではなく、共有のため)
- メールやチャットなど客観材料があるか
「感じが悪い」だけでは、注意も配置判断も不安定になります。事実を短いメモで積むのが基本です。
成果・納期への影響が出ているか
- 手戻り、ミス、納期遅れが発生しているか
- チームの作業が止まる、周囲が萎縮して報連相が減るなどの影響があるか
影響が出ているなら優先度は上がります。逆に、成果に影響がなく「言い方」だけの問題なら、伝え方を慎重にして関係を壊さないことが重要です。
注意して改善する余地があるか
- 本人が知らないルール・期待値の可能性はあるか
- 改善後の姿を具体的に言えるか
改善後の姿が曖昧だと、「態度を直して」になり、受け手は反発しやすくなります。行動で表せる期待に変換してから伝えます。
角を立てずに伝える:注意のテンプレ手順
注意は「勝つため」ではなく、仕事が回る状態に戻すために行います。派遣・社員に限らず、基本の型は同じです。
1on1で事実→影響→期待を短く伝える
周囲の前で言うと防衛反応が強まり、晒し上げにも見えます。できるだけ1on1で、以下の順で短く伝えます。
- 事実:観察できた行動(例:「昨日の朝会で、呼びかけに返事がなかった」)
- 影響:業務・チームへの影響(例:「依頼が伝わったか不安で確認が増えた」)
- 期待:次からの具体行動(例:「返事は一言でいいのでお願いします」)
この順番にすると、人格否定を避けつつ、必要な修正を伝えやすくなります。
言い回し例:禁止より「してほしい」を軸に
- 「態度が悪いのでやめてください」
→「依頼を受けたら、まず『承知しました/確認します』の一言をもらえると助かります」 - 「反論しないで」
→「懸念があるときは、結論(可否)と理由、代案をセットで教えてください」 - 「タメ口は失礼」
→「社内のやり取りは敬語で統一しているので、合わせてもらえますか」
ポイントは、相手の人格ではなく、場のルールと業務の必要性として伝えることです。
業務の優先順位・報連相ルールを合意する
「態度」に見えるものの中身が、優先順位の解釈違いや報連相ルールの不一致であることは多いです。話すときは次もセットで確認します。
- 優先順位の決め方(誰が最終判断するか)
- 確認が必要な基準(例:納期が変わる、品質に影響が出る等)
- 連絡手段(口頭/チャット/メール)と緊急時のルール
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感情的になったときはいったん保留する
こちらがイラッとしている状態で注意すると、言葉が強くなりやすく、相手も防衛的になります。自分の声量や言い回しが荒くなりそうなら、
- 「今すぐ結論を出さず、今日の午後に改めて話します」
- 「事実を整理してから相談します」
のようにいったん区切り、事実メモを作ってから臨む方が安全です。
個人で抱えない:派遣の相談ルートと進め方
派遣の現場は、派遣先・派遣元・本人の三者が関わるため、独断で進めるとこじれます。職場の就業ルール(指揮命令系統、相談窓口)がある前提で、一般的に取りやすい流れを示します。
派遣先の上長・人事へ共有(事実ベース)
まずは派遣先の指揮命令者や上長に、感想ではなく事実で共有します。共有する材料は次の形が便利です。
- 発生日時/場所/状況
- 具体的発言・行動
- 業務への影響
- こちらが試した対応(1on1実施、ルール共有など)
- 希望(改善支援、窓口一本化、派遣元連携など)
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派遣元担当へ連絡(契約・指揮命令の整理)
改善が見られない、契約範囲の疑いがある、勤務態度に規程面の論点がある場合は、派遣元担当に共有します。派遣元側は、本人へのフィードバックや契約条件の確認・調整を担うことがあります。
- 契約範囲に関係しそうな依頼内容
- 指揮命令者が誰で、どの経路で指示が出ているか
- 本人に伝えた期待値と反応
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配置転換や契約更新判断の前に整理する
「合わないから交代」へ飛ぶと、手順面のトラブルや不信感が残ります。まずは、
- 改善のために何を伝え、いつまでに何が変わればOKか
- 業務影響がどの程度か
- 契約・就業ルール上の論点がないか
を整理し、派遣元・社内関係者と合意形成を取ってから次の判断に進みます。
社内の相談窓口(ハラスメント等)の活用
双方の言動がエスカレートしそう、威圧的な叱責になりそう、差別的に受け取られ得る表現をしてしまった/されている、などの懸念がある場合は、早めに社内窓口や人事に相談します。法的な断定は避けつつ、安全なコミュニケーションに戻すための支援として使うのが目的です。
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やってはいけない対応(関係悪化・法務リスク)
状況が厄介なほど、こちらの言い方ややり方が問われます。次は避けてください。
本人の人格否定・晒し上げ
- 「性格が悪い」「社会人として終わっている」など人格評価
- 皆の前で叱る、チャットで名指しする
短期的に黙らせても、長期的には反発・萎縮・離職・苦情につながりやすいです。注意は1on1、内容は行動に限定します。
派遣だからと一括りにする差別的発言
- 「派遣はこうだよね」など属性で断定する
- 契約形態を理由に尊重を欠く扱いをする
個人の行動の話を、雇用形態へ一般化しないことが基本です。チーム内の信頼も崩れます。
契約外業務の強要・脅し
- 契約外の依頼を断られたことを「態度が悪い」と決めつける
- 「やらないなら更新しない」など圧力をかける
業務範囲は派遣の重要論点です。疑いがある場合は、派遣元・社内の手順に沿って整理します。
記録なしの噂話で評価を決める
- 「みんな言ってるから」で決める
- 具体例が出せないまま派遣元へ丸投げする
事実が薄いと、派遣元も動きにくく、本人も納得しません。日時・行動・影響の形で最低限の記録を作ってから共有します。
再発防止:受け入れ体制を整える
「態度」の問題が繰り返される職場は、個人要因だけでなく受け入れ側の仕組みが未整備なことがあります。特定の誰かを悪者にせず、再発防止を進めると現場が安定します。
初日の説明(業務範囲・指揮命令系統)を明確化
- 担当業務の範囲(やること/やらないこと)
- 指示の窓口(指揮命令者、代替者)
- 緊急時の連絡方法
初期にここが曖昧だと、「誰の指示を優先するか」「どこまでやるか」で摩擦が増えます。
チームのコミュニケーションルールを文書化
- 会議での発言ルール(口調ではなく、結論→理由→提案など)
- チャットの使い分け(緊急/通常、メンションの運用)
- 敬語・呼称など、部署の“合わせたい基準”
暗黙知を減らすほど、「失礼だ」「分かってない」の衝突は減ります。
困りごとを早期に拾う定期面談
月次・隔週など頻度は職場の実情で構いませんが、短時間でも定期的に話す場があると、問題が小さいうちに軌道修正できます。質問は、
- 困っていることはあるか
- 優先順位は合っているか
- 情報共有で足りないものはあるか
など、業務に寄せると角が立ちにくいです。
社員側も「頼み方」を標準化する
同僚社員がバラバラに依頼すると、本人は板挟みになり、反発や強い口調に見える反応が出やすくなります。社員側で次を揃えるだけでも改善します。
- 依頼は原則誰から出すか(窓口)
- 依頼テンプレ(目的/期限/優先度/確認点)
- 断られたときのエスカレーション(指揮命令者へ)
まずは事実整理→相談:現場用チェックリスト
- 「態度がでかい」を、具体的行動(いつ・どこで・何を)に書き換えた
- 業務指示の曖昧さ/優先順位の不一致がないか確認した
- 契約範囲外の依頼になっていないか点検した
- 誰に対して起きているか(特定相手だけか)を見た
- 業務影響(納期・品質・手戻り・連携停止)を言語化した
- 1on1で「事実→影響→期待」を短く伝える準備をした
- 感情的になりそうなら保留し、事実メモを作った
- 改善が難しければ、上長・人事・派遣元など所定ルートに事実ベースで共有する方針を立てた
よくある質問
- 派遣社員に直接注意していいですか?
- 可能ですが事実ベースで短く。指揮命令者を通し、改善が難しければ派遣元へ共有します。
- 態度がでかい人をすぐ交代させられますか?
- 即断は避け、契約内容と手順確認が先。業務影響の事実を整理し派遣元と相談します。
- こちらの言い方が原因かもと思ったら?
- 指示の曖昧さや依頼の仕方を見直し、期待値を合意すると改善することがあります。
- 社員にだけ強く当たる場合は?
- 相性問題の可能性も。面談で具体例を示し、役割分担や窓口の一本化を検討します。
- ハラスメントに当たりそうなケースは?
- 人格攻撃や差別発言、威圧的な叱責は危険。社内窓口や人事に早めに相談します。
おわりに・・・元派遣社員からのホンネ
派遣社員として働いている人にはいろいろな背景があると思います。その中でも、「正社員としてはたらくのはシンドイ」から派遣でいるのかな・・と感じる方が多いという印象です。
なのであまり色々と求めすぎず、契約で決めた業務をこなしてくれていればオッケー!くらいな気持ちで一緒にお仕事をしていくとお互いにハッピーだと思います!